お嫁さんと孫と生活をしていると、かつて子育てに奮闘していた自分を思い出します。
子育ては誰もができて当たり前なことではないと思います。だけど、世間からは母親なら出来て当たり前でしょって思われている気がします。何をしても褒められることはないのに、何かあれば責められてしまいます。
とても、孤独。
私は、「孤育て」をしていたと思います。今なら『孤育てすることを選んだのは紛れもなく自分』だと思えるのですが、当時は孤育てを選ぶ以外に方法が見つかりませんでした。誰かに褒められるために子供を育ててるわけではありません。でも、一生懸命に奮闘していることを誰かにちゃんと分かってもらえているという感覚をすごく欲しがっていたんだと思います。
そんなことも出来ないの?
そんなことも知らないの?
子供が子供を育てているみたいだね。
女だったら母乳くらい出るでしょう?
いつまで母乳をあげてるの?飲ませ方が悪いんじゃないの?
うちの子はこうやって育てたから、そうしなさい。
見せたいものがあるから起こしてきて!
言う方に悪気がなかったにしても、意見されたりダメ出しされたりするたびに私は蔑まされている気持ちになったし、自分の意志とは違うことを強要されたり理不尽で不親切な要求を飲まされるたびに、私はどんどん子育てに自信をなくしました。
子育てに『同じ』なんてありえないのに。
私はそんなふうにしたくないのに。
私にはそれができないのに。
私はそんなふうにして欲しくないのに。
どうして私のやり方を批判するの?
なぜそんな目で私を見るの?
なんでそんなことを平気で言えるの?
もう放っておいて。
何も言わないで、関わらないで。
私の子供に触らないで!!
私の子育てはどうなっていくの???
もうやめて!
心はいつも憤りや葛藤、怒りや悲しみで満ちていました。誰にも相談なんてできませんでした。なぜなら、完璧に子育てをしているように見せたかった、そう見られたかったという意地があったからです。自信をなくすたびにその意地はより強固なものになっていきました。
あるとき、息子を連れて眼科にかかりました。ものもらいか?結膜炎か?どちらにしても初めての病気でした。私は聞き漏れがないように質問事項をあらかじめメモに書き出し、万全の体制で診察に臨んだのですが....
「なんでもかんでも聞いてばっかりで!そんなことも聞かなきゃわからないのか??これだから若い母親っていうのは困るんだ!!」と怒鳴られました。さらに、なぜか「12月8日が何の日か知っているか!?どうせ知らないだろう!!」と叫ばれました。私が正解を答えると「フン!」って医師は顔を背けました。
ものすごくびっくりしましたし、怖かったし、腹が立ちました。
・・・なんで怒られた??
・・・なんでそんなことを言われなきゃいけないの??
・・・若い母親だから、何????
・・・うちの子と戦争とどういう関係???
頭の中はパニックです。高齢の医者から見たら、私は無知でバカな親に見えたのでしょう。待合室と診察室はカーテン一枚で仕切られていたので、医者の怒号と罵声は小さな医院中に丸聴こえだったと思います。息子を抱いて診察室から出てきた私を哀れそうな目で見ていた看護師や受付の人の顔が忘れられません。
「わからないことは聞こう、それは子供ためだから」と思って子育てをしていたのですが、この出来事をきっかけにますます孤育てに拍車がかかり
もういい。
誰も頼らない。
他人に対して警戒心を抱くようにさえなりました。
でも、、、
私は孤独だったと言いましたが、一番近くで私を見ている人がいました。それは、どんな私もありのままに丸ごと「お母さん」として受け入れてくれていた我が子たちです。育てていたのは私ですが、育てられていたのも私だったなぁとしみじみ思います。
頑張ることも大切ですが、自分を追い詰めてしまうと最後には頑張れなくなります。孤独な状態が悪いわけじゃなくて、孤独が状態を悪くすることがあるのです。「誰も頼らない」と思ってしまった私ですが、「できない」のに「できる」と言って最終的に周りに迷惑をかけてしまったこともあります。
こんな私が今伝えたいこと...
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子育てが大変だと感じるのは当たり前のこと。だから、「大変だ」って声に出していいのです。無理に周りと足並みを揃えなくてもいいし、周りと同じでなくたっていいのです。親と子供が手を携えて歩いていければそれでいいのです。
出来ないこと、分からないことがあってもいいのです。それは恥ずかしいことなんかじゃありません。焦らなくていいのです。大丈夫なのです。子供の成長とともに、育て方は変わってきます。それに伴って悩みも変わってきます。親も子供と一緒に成長していきます。
昨日も今日も明日も、きっといろんなことがあって、いろんなことを思うでしょう。子育てを大変だと思うのは、それだけ真剣に子育てをしている証拠です。思うように子育てが出来ないなら、『そう思うこと』を一度やめてみてもいいと思います。『子育てを楽しいって思えないとダメ』だとか、『子供を可愛いって思えないとおかしい』とか、『親はこうであるべき』だとか、そういう思考に囚われているのなら一度その思考を手放すことをお勧めします。
人は共感を得られると安心するので、子育てについてフランクに語れる友達やコミュニティを作るのは良いかもしれません。私は意地を張って壁を作って長い間ずっと一匹オオカミでしたから、自分の疑問や不安、鬱憤を晴らせる場所を持つことがいかに心の安定に繋がるか、そして、その大切さを知っています。
「周りも同じなんだ」って思えるとすごく楽になりますし、「あるある話」や失敗談や成功談の中にはお役立ち情報が満載です。客観的に周りの子育てや親子関係を見て知ることは、子育てや自分自身をを冷静に見直すきっかけになります。自分の経験が誰かの役に立てれば嬉しいですし、誰かの経験が自分の子育てにプラスに働けばラッキーですし、一緒に子育てを頑張っている同士(同志)がいることが何よりも励みになることでしょう。
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子育ての最中はこの大変さがいつまでも続くような感覚になっていますが、子育てをしている時間より、その後の人生の方がずっとずっと長いです。
最後にもう一度言います。
大変だなと思ったら、大変だ!と声をあげてください。相談できる人が誰もいないと嘆かないでください。誰もいないんじゃなく、見つけられないだけかもしれません。今はネットで同じように悩んでいる人と繋がることだってできます。電話一本で救われることもあります。
子育てに限らず、金銭的なこと、人間関係、夫婦関係、その他諸々、解決したいこと、わからないことはその道のプロや経験者に頼ってください。
何か解決したいことがあれば、あなたは解決に向けて手段を選ぶことができます。あなたが望めば相談にのってくれる人がいるのです。それをいつも忘れないでほしいと思います。一人じゃないってことを、あなたの大事な人がいつも側で教えてくれているはずです。
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