ふとしたことから、思いもかけず自分の本音に気づくことがあります。私は昨日、自分が心の底で願っている思いをガツンと感じてしまいました。それは、テレビで若いカップルが結婚式を挙げている様子を見たときでした。
純白のドレスとスーツに身を包んだ二人が、彼らを祝福する人たちから笑顔とフラワーシャワーを浴びている様子を見て
「結婚式っていいなぁ」
「息子の結婚式が見たいなぁ」
と思いました。そして、涙がポロポロ...
授かり婚でしたので、息子夫婦はまだ結婚式を挙げていません。出産や今後の生活をどうするかで、挙式どころではありませんでした。お腹が目立たないうちにウエディングフォトだけでも撮ろうとかという話は出たのですが、当の本人たちが乗り気ではなかったので実現はしていません。
結婚式を挙げなきゃいけないと思っているわけではありません。でも、子供の結婚式に参列するのは一つの夢でもありました。神様の前で誓いを立てる二人を見たいし、お嫁さんがお姫様みたいにキレイに着飾った姿を見たいと思うし、王子様みたいになった息子の姿も見たい。二人が多くの人たちに祝福されている姿も見たいし、私も「おめでとう、よかったね」って言われたい。「今までありがとう」なんて言葉を息子から言われてみたいし、子供たちの成長を一緒に見守ってきてくれた私の両親に子供たちの晴れ姿を見せてあげたい。形にこだわる必要はないと思っていながらも、形を残したいと思う気持ちは捨てきれていない自分に気がついてしまいました。
結婚式の段取りをしている間に別れてしまうカップルが割と多くいるという話がありますが、それくらい結婚式を挙げることって大変なことだし面倒臭いことがたくさんあるけれども、一生に一回の一大イベントとして長いこと捉えられてきたと思うんですね。結婚式は入学式や卒業式、成人式などがあるのと同じくらい、いや、それ以上に大切な式だと言っても大げさではないとも思います。
結婚式というのは二人の結婚を皆に周知してもらい、皆で二人を祝福する式であると同時に、式を挙げる二人がお世話になった人たちへ感謝をする祭りでもあり、二人の覚悟を宣誓する場所でもあり、人生の門出の式だと思います。式を挙げても挙げなくても結婚したという事実には変わりはないけれど、結婚というものが実は結婚する二人のものだけではないということを身にしみて感じ、一生を通じてそう思わせてくれるのが結婚式かもしれないなと思います。
私はホテルのチャペルで式を挙げさせてもらいました。ウエディングドレスを着るのが夢だったからです。しかし、それを親にお願いするのはとても心苦しかった。なぜなら、そこに宗教の壁があったからです。しかし、父は私の願いを受け入れ、ヴァージンロードを一緒に歩いてくれました。それは、父の信念や人生を覆すほど大きな選択だったと思います。自分の生き方を曲げてまで私の願いを叶えてくれた父の愛。私の幸せを願う母や友達の愛。この、たくさんの愛の上に成り立った結婚式が、どんなに辛くてもそれを乗り越える力になって今の私を支え続けているのは確かです。
今の息子夫婦を見ていると、二人のためにも結婚式は挙げた方がいいと思うし、なんていうか、安心させてほしいというか、ちゃんと区切らせてほしいというか、責任感や覚悟をもっと持ってもらいたいというか、なんとも言えない思いと切なさで胸がいっぱいです。
結婚して欲しいというより、自立して幸せになってもらいたいと思って子供を育ててきました。でも、いざ結婚が決まったら、今度は式を挙げてほしいと願ってしまった私。少しの矛盾は感じているけれど...お母さんね、君の晴れ姿を見たいよ、とっても。おじいちゃんとおばあちゃんにも見てもらいたいよ、君が一人前の男性になった姿を。